今回のスタメン予想はベースカバーや外野からの中継など幅広い守備が求められる二塁手(セカンド)編です。
なお他ポジションのスタメン予想は以下記事でまとめています。
- 過去記事:スタメン予想 一塁手編
- 過去記事:スタメン予想 遊撃手編
球春到来も間近に迫り、タイガースの選手は春季キャンプに向け自主トレに励んでいます。
一方で怪我の様子もチラホラと報じられており、どの選手がスタメンを奪取するのか注目されている状態です。
2022年3月25日京セラドーム大阪にて開幕する阪神タイガースのペナントレース。
今年の開幕スタメンを大胆予想していきたいと思います!
今回は二塁手のスタメンが誰になるのか見ていきましょう。
昨シーズンのスタメンは?
まずは2021年のスタメンを振り返ってみましょう。
1番(中)近本光司
2番(二)糸原健斗
3番(一)マルテ
4番(三)大山悠輔
5番(左)サンズ
6番(右)佐藤輝明
7番(捕)梅野隆太郎
8番(遊)木浪聖也
9番(投)藤浪晋太郎
昨年は2019年から3年連続で糸原選手が二塁手として開幕スタメンの座を掴みました。
なお2018年は遊撃手でスタメンでしたので、自身としては4年連続開幕スタメンを継続しています。
開幕戦から好調だった糸原選手は5月19日に下肢のコンディション不良により出場登録を抹消されましたが、6月11日に一軍へ復帰。
それ以降は安定した活躍を見せ、125試合に出場しました。
阪神の二塁手=糸原健斗選手というイメージがより顕著となったシーズンとなりました。
開幕序盤不調だった近本選手に代わり、3月は打率.476、4月は.319と絶好調だった糸原選手。
それだけに登録抹消は残念でした・・・。
とはいえ一軍復帰以降も大きな不調はなく、出塁率.347は100試合以上出場した阪神の選手では近本選手マルテ選手に次ぐ第三位の成績です。
粘り強いバッティングは阪神に欠かせないですよね。
昨シーズンの二塁手での出場選手は?
ではシーズン通して二塁手として出場した選手は誰がいたのでしょう?
出場試合数や失策数などを見ていきたいと思います。
以下、二塁手での出場試合数順に並べた昨シーズンの成績表です。
試合(全) | 打率 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 試合(二塁) | 失策(二塁) | 守備率(二塁) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
糸原 健斗 | 125 | .286 | 126 | 2 | 30 | 6 | 114 | 7 | 0.986 |
植田 海 | 64 | .333 | 2 | 0 | 0 | 10 | 38 | 0 | 1.000 |
木浪 聖也 | 92 | .227 | 27 | 1 | 15 | 0 | 34 | 1 | 0.99 |
山本 泰寛 | 69 | .186 | 8 | 0 | 3 | 2 | 19 | 0 | 1.000 |
中野 拓夢 | 135 | .273 | 127 | 1 | 36 | 30 | 18 | 0 | 1.000 |
小幡 竜平 | 43 | .261 | 6 | 0 | 0 | 3 | 16 | 1 | 0.969 |
北條 史也 | 33 | .200 | 10 | 1 | 6 | 0 | 13 | 0 | 1.000 |
熊谷 敬宥 | 73 | .000 | 0 | 0 | 0 | 7 | 3 | 0 | 1.000 |
二塁手としての出場は糸原選手の114試合がトップの試合数でした。
ケガによる離脱はあったものの、コンディションに不安がない期間は基本的にセカンドに入っていました。
では二塁手として出場した各選手について、二塁手に求められる資質である打撃面・守備面の2点で昨シーズンの成績を比較してみましょう。
昨年成績考察:打撃面
昔は「守備力重視で打撃は二の次」というイメージが強かった二塁手でしたが、近年では「長打を打てるセカンド」を求める傾向にあります。
代表的な選手としては、ヤクルトスワローズの山田哲人内野手や、楽天イーグルスの浅村栄斗内野手が挙げられます。
当然チーム事情もあるため、打撃面・守備面どちらを重視するかはチームによっても異なります。
では、阪神タイガースではどうでしょうか。
二塁手ではリーグ2位の成績を収めた糸原
打席数の少ない植田選手を除くと、打率トップは糸原選手の.286でした。
これはセ・リーグ二塁手では横浜DeNAベイスターズ牧秀悟選手に次ぐ2位の成績です。
また糸原選手は2番、3番、5番、6番、7番とチーム事象によって打順が大きく変わりながらも、素晴らしい成績を残しています。
遊撃手の次に二塁手としての出場が多かった中野拓夢選手は打率.273でした。
こちらはセ・リーグ遊撃手では第3位の成績。
糸原の選球眼は年々劣化している?
ただ糸原選手について気になる点としては、四球の数。全試合出場を果たした2018年から比べると、86→41に四球数が減っています。
出塁率.347もセ・リーグ15位なので悪い数字ではありませんが、2018年をピークに減少傾向にある状態です。
四球数の減少から選球眼が劣化したのでは?と考えられますがどうでしょうか。
四球と三振の割合から打者の選球眼を見る指標として用いられる「BB/K(BB=四球 K=三振)」を見てみましょう。
今年の糸原選手のBB/Kは0.67という数値となっており、これはセ・リーグ規定打席到達者32名のうち11番目に高い結果で、およそ上位三分の一に入る好成績です。
名前 | BB/K | |
1 | マルテ | 1.03 |
2 | 鈴木誠也 | 0.99 |
3 | 青木宣親 | 0.98 |
4 | 坂倉将吾 | 0.85 |
5 | 佐野恵太 | 0.84 |
6 | 村上宗隆 | 0.8 |
7 | 宮﨑敏郎 | 0.77 |
8 | 山田哲人 | 0.76 |
9 | 大島洋平 | 0.7 |
10 | 中村悠平 | 0.7 |
11 | 糸原健斗 | 0.67 |
しかし過去の成績を振り返ると、2018年は1.18、2019年は0.86となっており、確かに年々落ちて行っていることがわかります。(2020年は規定打席未到達)
打撃によるチーム貢献度は植田選手がトップ?
では得失点差への寄与の基準として用いられる「wRAA (Weighted Runs Above Average)」を見てみましょう。
以下は全ポジション合計でのwRAA数値と、ポジション別の wRAA 数値です。
wRAA | 一塁 | 二塁 | 三塁 | 遊撃 | 左翼 | 中堅 | 右翼 | 指名 | 代打 | |
植田海 | 0.1 | 0.6 | -0.3 | -0.3 | ||||||
糸原健斗 | 0.5 | 0.1 | -0.3 | -0.3 | ||||||
小幡竜平 | -0.1 | -0.2 | 0.4 | 0.4 | -0.6 | |||||
北條史也 | -2.7 | -0.3 | -0.6 | -0.5 | -0.6 | |||||
木浪聖也 | -5.7 | 1.1 | -1.9 | -0.3 | -2.5 | -0.6 | ||||
山本泰寛 | -2.7 | -0.3 | 0 | 0.8 | -1.8 | -0.7 | ||||
中野拓夢 | -10.9 | -0.6 | -2.1 | 0.9 | ||||||
熊谷敬宥 | -1.3 | -0.3 | -0.3 | -0.7 |
二塁手としてもっともよい数値だったのは植田選手の0.6でした。
とはいえやはり打席数が少ないので何とも言えないですね。
一方最低の数値のなったのは木浪選手の-1.9となりました。
昨年成績考察:守備面
続いて守備面を見ていきます。失策数0となった選手は植田選手、山本選手、中野選手、北條選手、熊谷選手の5名でした。38試合に出場して失策0の植田選手は素晴らしい成績ですが、守備固めでの出場も多かったため評価が難しいところです。
守備範囲の狭さが露見?
守備指標は少し情報が少ないため、糸原選手と他チーム選手について比較してみます。
株式会社DELTAが発表している、守備貢献度を評価した“DELTA FIELDING AWARDS 2021”の二塁手部門の結果は以下の通りでした。
名前 | 球団 | RngR | UZR |
外崎 | 西部 | 3.3 | 4.8 |
吉川 | 巨人 | 2.2 | 4.3 |
山田 | ヤクルト | 4.7 | 8.3 |
阿部 | 中日 | -3.2 | -0.5 |
中村 | ロッテ | 1.6 | 1.9 |
三森 | ソフトバンク | -3.7 | -2.9 |
菊池 | 広島 | 0.3 | 4.3 |
安達 | オリックス | 5.2 | 1.4 |
牧 | DeNA | -0.8 | -1 |
浅村 | 楽天 | -7.4 | -9.3 |
渡邊 | 日本ハム | -9.7 | -8 |
糸原 | 阪神 | -13 | -15.9 |
それぞれの指標の意味は以下の通り。
・RngR(range runs)・・・打球処理貢献度。グラウンドのどのゾーンの打球をどれだけアウトにしたか、その状況から貢献を計り得点換算したもの。 ・UZR(Ultimate Zone Rating)・・・同ポジションの平均に比べてどれだけ失点を防いだかを表す守備の評価指標。
簡単に言えば、RngRは守備範囲の広さ、UZRはアウト貢献度を示しているものと考えればよいかと思います。
指標には表れない能力もあるため、数値が高い=守備のうまさと必ずしも言えない場合もあります。
あくまで参考程度に楽しんでもらえればいいのかなと思います。
数値を見る限りでは糸原選手は12球団で最も低く、守備範囲が狭い傾向にあるという結果になりました。
この結果や失策数が突出して多いわけではないことを踏まえると、糸原選手は「エラーが多くて守備が下手」というより、「守備範囲が狭くてアウトを稼げていない」という傾向があるかもしれません。
2022年二塁手スタメンを予想
では、今シーズンの二塁手開幕スタメンは誰になるのか予想していきましょう。
各選手の近況を交えながらスタメン候補(大本命、対抗馬、大穴)について解説していきます。
◎大本命:糸原健斗(29)
どの打順でも仕事をこなしてくれる糸原選手が筆頭候補といって間違いないでしょう。
規定打席に到達すれば2割8分程度は計算できる選手なので、打撃面では現状二塁手では糸原選手が頭一つ二つ抜けていると言えます。
しかしながら選球眼に衰えの兆しがある点は気になるところ。
また以前から言われている守備範囲の狭さは大きな懸念材料になってきます。
個人的にはまだまだスタメンを張ってほしいので、選球眼の改善に期待したいところです。
それが競争に生み、チームとしてのレベルアップにつながると思います!
〇対抗馬:小幡竜平(21)
高卒4年目となる小幡選手を対抗馬として選出させていただきました。
前述の通り、小幡選手の持ち味は何といってもプロも認める一流の守備力。
また打撃面でも昨年は向上が見られています。
ファームでも打撃成績は65試合に出場し、打率.287、安打数70、出塁率.357と優秀な結果を残しています。
個人的には遊撃手部門でも大穴候補として挙げていますが、中野選手の怪我が全快すれば遊撃手レギュラーは確実視されています。
そう考えると、小幡選手としては二塁手としての出場機会の方が多くなる可能性は高いです。
糸原選手がレギュラーでも、休養日に出場できるような力はもうついているように感じます。
とはいえまだ21歳と若いですので、焦ることなく着実な成長を期待したいですね。
△大穴:高寺望夢(19)
ここは大きな期待を込めて高卒2年目の高寺望夢内野手を大穴候補として挙げさせていただきました。
高寺選手といえば、なんといっても2021年秋のフェニックスリーグで飛躍を見せた選手です。
13試合に出場し打率は驚異の.522をマーク。29打数16安打と打ちに打ちまくりました。
メインポジションは遊撃手ですが、2021秋には二塁手として本格的に守備練習に挑戦していました。
遊撃手は中野拓夢選手を筆頭に、木浪選手や山本選手、植田選手、小幡選手など競争が熾烈。
出場機会が少ないことを考えると、二塁手として出場機会を求めていくこともよいことかと思います。
2022年春季キャンプは見事一軍参加の切符をつかみました!
とはいえまだ一軍登録経験もない高寺選手。
春季キャンプでアピールして、開幕一軍を勝ち取ってほしいですね。
さいごに
今回は2022年開幕スタメン予想について紹介しました。
守備範囲が広い上に、打撃面でも期待される二塁手。
他ポジションとの兼ね合いもありますが、基本的には糸原選手の開幕スタメンが基本路線と考えられます。
しかし守備面での課題を考えると、守備固めから他選手が台頭してくる可能性は十分考えられると思います。
またシーズン始まってから不測の事態も十分あり得るため、小幡選手や高寺選手の活躍はチーム全体で重要になってきます。
春季キャンプやオープン戦の結果次第で形勢は当然変わってくると思いますので、今後も見逃せません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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