こんにちは。
2010年代の常勝軍団であった読売ジャイアンツや福岡ソフトバンクホークスが三軍制を導入していることが有名ですよね。
ただ一口に三軍といえど、三軍制を導入している球団としていない球団があり、また 導入していても目的が様々です。
また実際にどういった練習や試合をしているのか分からないことも多いかと思います。

全球団に三軍はないって聞いたけど、普段試合はどうしてるの?
今回はそういった三軍に関する疑問点について解説していこうと思います!
育成選手制度について
まずは三軍を語るうえで重要となる「育成選手制度」について説明します。
日本プロ野球選手会が公表している「日本プロ野球育成選手に関する規約」では 育成選手について以下のように述べられています。
本規約に定める日本プロフェッショナル野球育成選手(以下「育成選手」という)とは、前条の日本プロフェッショナル野球組織の支配下選手として連盟選手権試合出場可能な支配下選手登録の目的達成を目指して野球技能の錬成向上およびマナー養成等の野球活動を行うため、球団と野球育成選手契約(以下「育成選手契約」という)を締結した選手をいう。
日本プロ野球選手会 日本プロ野球育成選手に関する規約 2014年度版 第2条
簡単に言うと育成選手とは支配下選手登録されておらず、一軍の試合に出場することが出来ない選手のことを指しています。
なお、育成選手はユニフォームの背番号については3桁の番号をつける必要があります。
2021年現在、支配下枠の上限人数は70名となっており、それ以上の選手を支配下登録することはできません。
支配下枠に上限がある理由は、球団資金力の差異による戦力格差が起きてしまう可能性があるためだと言われています。
また一軍の試合に出ることが出来る人数は限られていますので、いわゆる「飼い殺し」が起きてしまうことを防ぐ目的もあるかと思います。
少し話はそれますが、実は育成選手には契約期間に上限があります。
育成選手として入団後 3 年間(3 シーズン)育成選手として在籍をした者が、当該球団から翌年度の支配下選手として選手契約を締結されない場合(原則として 10 月末日までにその旨本人に通告するとともに開示手続きをとる。)には、11 月末日をもって自動的に自由契約選手となる。
日本プロ野球選手会 日本プロ野球育成選手に関する規約 2014年度版 第10条
3年以内に結果を出せなければ自由契約、つまり戦力外になってしまうようです。
厳しい世界ですが、その後の人生の事も考えると期限があったほうが良いのかもしれませんね。
三軍とは?試合はどうしているのか?
育成選手は支配下登録されておらず一軍の試合には出れないため、二軍公式戦が主戦場となります。
ただし二軍公式戦に同時に出場できる育成選手は5名までと制限があります。
支配下登録選手であっても、全員が一軍戦に出られるわけではありません。
「出場選手登録」されている必要があり、上限人数は29名となっています。
出場には制限がある一方で、近年育成選手を大量に獲得する球団が増えてきており、二軍公式戦だけでは出場機会が減ってしまう状況になっています。
単純に考えても支配下枠70名のうちおよそ40名の選手+育成選手が常時二軍にいるため、一軍の選手29名より出場機会は当然少なくなってしまいますね。
そこで出場機会を増やすために三軍制を導入する球団が出てきました。
実は三軍に明確な定義はなく、球団が非公式に組織したチームです。
では試合はどうしているのでしょうか?
非公式組織ということもあり一軍や二軍のような公式試合はなく、三軍は社会人野球や独立リーグ、大学野球との練習試合を行っています。
三軍制を導入している球団同士の試合もあるようです。
ただし球団によっては三軍をリハビリの場としている球団もあり、試合を行っていない場合があります。
詳細については後述していきます。
三軍を採用している球団は5球団
では現在三軍制を導入している球団はどこなのでしょうか?
2021年現在、公式に「三軍制」を称している球団は「読売ジャイアンツ」「福岡ソフトバンクホークス」「広島東洋カープ」「埼玉西武ライオンズ」「オリックス・バファローズ」の5球団です。
読売ジャイアンツ
読売ジャイアンツは2011年、育成選手や二軍で出場機会の少ない若手選手を中心とした「第二の二軍」を組織しました。
こちらが事実上の三軍の発足になります。
しかし2013年に一度廃止されています。出場機会が増えたことで、故障者の強行出場や本来とは異なるポジションにつくことなどが増えてしまったことが原因のようです。
その2年後となる2015年に環境を整備したうえで「三軍」の発足が正式発表されました。
やはり育成選手が増えていったことが再発足の理由のようですね。

近年では、育成出身の松原聖弥選手が2021年ブレイクしましたね。
セ・リーグで2桁本塁打を達成したのは松原聖弥選手が初のようです!
2022年シーズンには巨人OBである駒田徳広氏が三軍監督として招聘されるようです。
松原聖弥選手のような育成出身選手の活躍が期待されています。

福岡ソフトバンクホークス
選手層が非常に厚いことで知られるソフトバンクホークス。
三軍発足は前述の巨人と同様に2011年でした。
三軍初代メンバーには現在では日本が誇るエースである千賀滉大投手(2010年育成ドラフト4位)も在籍していました。
今となっては驚きですね!
当時の三軍監督である小川史氏は三軍の存在意義について以下のように語っています。
「もちろん練習のなかで上達する技術もありますが、試合でなければ身につかないことは多いです。自分の力が通用するのかは、実戦で試さないとわかりません。あとは状況に応じた判断力など、試合でなければ鍛えられない部分がありますね」
東洋経済オンライン 2015/10/11 「ホークスの圧倒的強さを支える「3軍」の正体」
選手層が厚いホークスこそ、実戦での成長機会を増やすことが出来る三軍制度はより有意義なのかもしれません。
前述の通りホークスでの三軍出身選手では千賀滉大投手があまりにも有名ですが、2021年でいうとブレイクの兆しを見せたリチャード選手を外して語ることはできないでしょう。
2021年は9月に初めて一軍昇格を果たすと、通算34試合の出場で7本塁打と長距離砲としての片鱗を見せつけました。
2022年シーズンは再び小川史氏が三軍監督に就任することが発表されています。
最速157キロを誇るドラフト1位指名の大型ルーキー風間球打投手についてもじっくり育てる趣旨の発言もされており、スケールの大きな選手になることが期待できそうですね!
広島東洋カープ
以外にも(といったら失礼かもしれませんが・・・)カープの三軍制は歴史が古く、1996年創設となっています。
ただし巨人やホークスと異なり、カープの三軍では故障者のリハビリ専門で試合は行っていません。
※2014年以降は成績不振選手の強化期間としても機能しているようです

埼玉西武ライオンズ
ライオンズは1992年に一度三軍制を採用したことがあるようですが、本格的な三軍制導入は2020年からと比較的歴史が浅いようです。
しかし残念ながら2021年には三軍が二軍へ統合されることが発表され、たった2年で三軍制は廃止となりました。

三軍廃止の理由は明確に語られていないようですが、金銭面での負担はあったのかもしれませんね。
ライオンズは育成選手を2020年に5名、2021年に4名と多く指名しています。
二軍で育成と強化両面を行うということですので、出場機会が減ってしまわないことを祈るばかりです。
オリックス・バファローズ
オリックスは2019年オフに三軍制の採用を発表し、2021年から導入されました。
それもあってか、2019年ドラフトでは育成選手として9名と多くの選手を指名しています。
とは言え、まだ三軍制は軌道に乗ったとは言えないようです。
育成コーチとしては4名いらっしゃいますが、三軍監督は2021年12月現在では不在の状態です。
・平井正史
・由田慎太郎
・鈴木昂平
・飯田大祐
2021年12月現在では育成選手を18名を抱えているオリックス。
悲願の優勝を果たした2021年以降、黄金期を迎えるためにも育成環境の整備は重要であると言えるでしょう。
全球団三軍制を取るべき!?
元千葉ロッテマリーンズの里崎智也氏もYouTubeで三軍制の重要性を語っています。
当然コストはかかるため全球団で三軍制をとることは現実的ではないでしょうが、巨人やホークスが成果を上げていることから他球団も無視することが出来ないものだと言えるでしょう。
さいごに
ここまで三軍制や育成選手について解説してきました。
2021年時点では三軍制を取っている球団は5球団ということでしたが、本格的な実践活動をしている球団は「読売ジャイアンツ」「福岡ソフトバンクホークス」の2球団のみといってよいでしょう。
2010年代に圧倒的な強さを誇った2球団ですので、成功事例を基に今後は三軍制が広まっていく可能性はあるかもしれません。
三軍制の普及によって育成選手の一層の活躍を期待しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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